
啓蟄の虫たち
今日も暖かいですね~
4月中旬の陽気だそうです。
数日続くのでこのまま春に突入するのかと思いきや、来週の月曜日からまた寒くなるとか。
もう3月だから戻らなくてもいいのよ。なんて(笑)
さて、3月といえば、今年は5日が啓蟄の日です。
啓蟄とは、冬籠りの虫が這い出ることを意味するそうで、いよいよ春到来といったところですが、虫たちの活動が活発になるというと、良いような、うーんとなるような両方の気分がしますね。
良い気分なのは、蝶などの見かけが良い虫やミツバチなどの益虫をイメージしたときで、うーんは、ゲジゲジやムカデなど見かけが気持ち悪い虫やカメムシなどの害虫をイメージしたときでしょう。
といっても、
蝶の子供である芋虫は見かけが「ぎゃーっ」だし(笑)、蜂も刺されるのは怖いです。
それにゲジゲジはゴキブリなダニなどを捕食してくれるので実は益虫なんですよね。
そう、全ては人間側の勝手な都合で分類してますけど、本当はどの虫も大事な存在なんです。
今日は、そんな虫たちのように見かけはワーオだけど(笑)、実は重要な働きをしてくれる小さな生き物についてお話ししていきたいと思います。
ところで、皆さん。
最近、農業では、無農薬、有機栽培が推奨されていますが、何故だかご存じですか?
「環境に優しいんでしょ。人間の身体にも良いし」
そうですね。その通りです。
で、有機栽培だと上のことがどうして良くなるんでしょうか?
「ん~、有機肥料なら生分解性が高いし……」
そうそう。
それでどうして?
っていうと、難しくなっちゃいますね。
では、言い換えましょう。
どうして、農薬や化学肥料は良くないんですか?
農薬は分かりやすいですよね。
だって、そもそも虫を殺したり、寄せ付けないようにする毒ですから。
人間が大量に摂取して良いことがあるとは思えません。
それじゃ、化学肥料は?
窒素とかリン酸とかカリウムとか、元々植物に必要な栄養素なんだよね?
何でそれをあげたらいけないの?
確かにそれはそうなんです。
だけど、ここで一つ注意点があります。
それは、化学肥料は別名無機質肥料といって、鉱物などの原料から化学的に合成して作られた肥料ということです。
つまり、無機化合物なんです。
無機化合物が何で悪いの?
ということですが、
単純に『悪い』わけではありません。
が、無機質は一般に微生物が分解できない――餌にならないという特徴があります。
そう、全てが悪いわけではないんですよ。
化学肥料は有機肥料と違ってどんな環境でも安定しているので、特に気を遣うことなく扱うことができます。
匂いも、有機肥料みたいにありません。
そして、積極的に三大要素のみを与えるので、収量が大きく増えます。
環境や天候に左右されやすい農業は、収量を読み難いですが、化学肥料を使えば比較的安定した収量を見込めるのです。
そんなこんなで、化学肥料のおかげで安定した成果を得られてきたわけですが、
ただ、問題がありました。
それは、土壌に良くなかったのです。
何故、土壌に良くないのか。
それはもう、さっきも言った通り、微生物が分解できないから。
そして、分解できない――餌にならない状態が続くと、微生物は死滅してしまうのです。
微生物――細菌なんて聞くと、なんかそこに居たら良くなさそうなイメージがありますよね。
環境や身体を清潔に保つために、よく殺菌をするなんて言いますし。
菌というと、病原菌や腐敗菌など、人体にとって良くないものが真っ先に思い浮かびそうです。
そんな菌なんて、いなくてもいいんじゃないの?
って、つい思いがちですが、ちょっと待って――
ここで、冒頭の虫たちの話を思い出してください。
そう。どんな虫も大事な存在でしたよね。
なので、これから土壌の微生物たちがどのように大事な存在なのかをお話ししていく――予定でしたが、思ったよりも話が長くなってしまったので、それは次回のコラムに譲りたいと思います。
ちなみに土壌の微生物と呼んでいるものの中には、菌類だけでなく、ミミズや昆虫などの小さい生物も含まれます。
冒頭で述べた啓蟄の虫の『虫』ですが、
今は、虫っていうと専ら昆虫類のことを指しますけど、昔は大型の獣や鳥、魚以外の小動物を指す言葉だったそうです。
元々虫という漢字は蛇を表すものだったそうで、そういえば蛇のこと長虫なんて言いますものね。
それでいくと、ミミズなども虫。
というわけで。今日は土中の微生物――啓蟄の虫たちのお話でした。
:M